(令和8年8月3日提訴)

【被告】   岡山県(代表者 知事 伊原木隆太)

【事件番号】 令和8年(行ウ)第19号  (岡山地方裁判所第2民事部、合議体で審理・裁判)

【現状】   次回期日は、令和8年10月14日(水)

事件概要

この事件は、岡山県に対し、令和7年9月7日に発生した政治活動妨害に関して岡山県と鏡野町がやり取りした内容などに関する情報公開請求を行ったところ、非開示決定となったため、訴訟を起こしたものである。

政治活動妨害の詳細は、(鏡野ドーム職務質問事件(正式名称:政治活動の妨害および名誉棄損による慰謝料請求事件)をご参照ください。

事件後の経過

令和8年8月3日、岡山地方裁判所に提訴。

訴訟後の主な経過

次回期日は、令和8年10月14日(火)13:30~(Webにて開催)

今に至る

訴訟等の資料

一部、分かりやすいように文言を修正、省略しています。


<訴 状>

令和8年 8月 3日

岡山地方裁判所御中

〒700-8570 岡山県岡山市北区内山下2-4-6

被告 岡山県 代表者 知事 伊原木 隆太

行政文書非開示決定処分取消請求事件

訴訟物の価額 金 160万円(算出不能)

貼用印紙額 金 1万3千円

請求の趣旨

 1.被告が,令和8 年4 月15 日付で原告に対して行った公文書非開示決定処分(岡通指第81 号)を取り消す。

 2.訴訟費用は被告の負担とする。

 との判決を求める。

請求の原因

第一 当事者について

 1.原告は,岡山県苫田郡鏡野町において政治活動を行う政治団体「かがやけかがみの」の代表であり,令和7 年の鏡野町長選挙において町長候補として出馬した者である。

 2.原告は,町長選挙後も継続して政治活動を行っていた。地域行政に対する意見表明や政策提案を行っている。そのため,原告の政治活動は行政機関の対応に影響を及ぼし得る立場にある。

 3.原告は,被告による不当な政治活動の妨害を受けたことを契機として,街頭での政治活動に強い心理的負担と危険を感じるようになり,従前のような街頭での政治活動を行うことが困難となった。

 4.被告は,1項及び2項については,別訴(岡山地裁津山支部事件番号:令和8年(ワ)第12号)において,乙号証として証拠を提出している。よって,被告は「原告の政治的立場」は周知している。

 5.被告は,原告の開示請求に対し非開示決定(岡通指第81 号)を行った処分庁である。

第二 本件提訴に至る経緯

 1.原告は,令和7 年9 月7 日 午前8 時45 分ごろより,岡山県苫田郡鏡野町内にある「かがみのドーム」の南約100mの歩道上にて,政治団体「かがやけかがみの」の政治活動を行っていた。

 2.同日,午前9 時15 分過ぎに,被告(岡山県警)の警察官1名が原告の方に近づき,政治活動の妨害を行った。

 3.2の「被告が行った政治活動の妨害」については,別訴を行い令和8年6月26日に結審をしている。(岡山地裁津山支部 事件番号:令和8年(ワ)第12号)

 4.別訴において,被告は当時の状況に関する乙号証をほとんど提出しなかった。

 5.原告は,当日の行政機関の対応状況を確認する必要性があると判断し,鏡野町と岡山県警との間で,1項および2項の出来事に関する連絡ややり取りが存在することを,鏡野町が作成した文書により確認した。

 6.原告はこれらの事実を踏まえ,令和8 年4 月8 日に被告に対し公文書開示請求を行ったところ,被告は令和8年4月15日付で非開示決定を行った。

 7.5項において,請求文書に関して誤記等があったため,改めて鏡野町に対して情報開示請求を行い,1項および2項の出来事に関する連絡ややり取りが存在することを,鏡野町が作成した文書により確認した。

 8.原告は,被告の非開示決定に不服であるから,本訴を行った。

第三 公文書の決定内容等について

 1.請求の内容

 (1)令和7 年9 月7 日午前9 時頃に、申請者が行った行為に対して、鏡野町もしくは関係者が岡山県警に通報した記録(時間、通報者、通報内容)および周辺警察官に指令した内容

 (2)(1)に関して岡山県警(代理人も含む)が,鏡野町役場(総務課,産業観光課,くらし安全課など)と作陽警備保障株式会社(当時,「かがみのドーム付近にて警備をしていた会社)と打ち合わせた内容および、その担当者

 (3)(1)に対して、通報者に対して聴取した内容(聴取の有無も含む)

 2.非決定の理由

  岡山県行政情報公開条例第10 条該当

  開示請求に係る公文書は、特定の個人が行った行為の内容に関する公文書と認められ、当該内容を含む文書が存在しているか否かを明らかにすること自体が、条例第7 条2 号の非開示情報である「個人に関する情報」を開示することとなるため。

第四 不開示決定の違法性

 1.岡山県行政情報公開条例第10 条に該当しない

  被告は条例第10 条(存否応答拒否)を根拠としている。公文書非開示決定通知書には以下の通り記載されている。

  開示請求に係る公文書は、特定の個人が行った行為の内容に関する公文書と認められ、当該内容を含む文書が存在しているか否かを明らかにすること自体が、条例第7 条2 号の非開示情報である「個人に関する情報」を開示することとなるため。

  「個人に関する情報」とは,「公務員の職務行為」および「公務員の指揮による職務行為」に関する情報は除外されるものであり,被告の判断は明らかに誤りである。

 2.岡山県行政情報公開条例第7条2号の除外事項に該当する

  岡山県行政情報公開条例第7条に関して,本件に該当する部分は以下の通りである。

 (1)岡山県行政情報公開条例第7条(本文)

   実施機関は、開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に次の各号のいずれかに該当する情報(以下「非開示情報」という。)が記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文響を開示しなければならない。

 (2)岡山県行政情報公開条例第7 条2 項

   個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等

   (文書、図画、写真若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項をいう。次条第二項において同じ。)により特定の個人を識別することができるもの

   (他の情報と照合することにより、特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの。

   ただし、次に掲げる情報を除く。

 (3)岡山県行政情報公開条例第7条2 項の除外事項(ハ)

    当該個人が公務員等(国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第二条第一項に規定する国家公務員(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人の役員及び職員を除く。)、

    独立行政法人等(独立行政法人等の保有する情報の公開に関する法律(平成十三年法律第百四十号)第二条第一項に規定する独立行政法人等をいう。以下この条において同じ。)の役員及び職員、

    地方公務員法(昭和二十五年法律第二百六十一号)第二条に規定する地方公務員、地方独立行政法人の役員及び職員並びに土地開発公社の役員及び職員をいう。)である場合において、当該情報がその職務の遂行に係る情報であるときは、

    当該情報のうち、当該公務員等の職及び氏名(当該公務員等が独立行政法人等の職員、公安委員会規則で定める職にある警察職員、地方独立行政法人の職員及び士地開発公社の職員である場合にあっては、当該公務員等の氏名を除く。)

    並びに当該職務遂行の内容に係る部分

  原告が,公文書開示請求にて開示を求めた情報を要約すると,以下のとおりである。

  (1)鏡野町もしくは関係者が岡山県警に通報した記録

  (2)周辺警察官に指令した内容

  (3)通報に関して被告と鏡野町の打ち合わせ内容、出席者

  (4)通報者との聴取内容

  いずれも警察官・鏡野町・警備会社(鏡野町が指揮)担当者の職務行為そのものである。よって,岡山県行政情報公開条例第7条2号の除外事項に該当する。

 3.岡山県行政情報公開条例第1 条に反する

  岡山県行政情報公開条例第1 条は,以下のとおりである。

  

  この条例は、地方自治の本旨にのっとり、公文書の開示を請求する権利につき定めるとともに、行政情報の公開の総合的な推進を図り、もって県が県政に関し県民に説明する責務を全うするようにし、

  県民の県政に対する理解と信頼を深め、県民参加による公正で開かれた県政を一層推進することを目的とする。

  本件非開示決定は,行政機関の職務行為を「個人情報」と誤って扱い,行政情報を不当に隠蔽したものと言わざるを得ない。

  これは条例の趣旨に反し、存否応答拒否の濫用である。

第五 結語

 以上より,被告の非開示決定は条例の解釈を誤った違法な処分であり,取消されるべきである。

以上,


<被告答弁書>

令和8年10月5日

被告訴訟代理人弁護士 青 山 智 紀

〒700-0816

岡山市北区富田町二丁目6番15号 板野法律事務所(送達場所)

第1 請求の趣旨に対する答弁

 1 原告の請求を棄却する。

 2 訴訟費用は原告の負担とする。

 との判決を求める。

第2 請求の原因に対する認否

 1 「第一 当事者について」

 (1) 1は認める。

 (2) 2は不知。

 (3) 3は不知又は否認する。原告の政治活動を不当に妨害した事実はない。

 (4) 4は別訴(岡山地裁津山支部 令和8年(ワ)第12号 政治活動の妨害および名誉毀損による慰謝料請求事件)において乙1~3号証を証拠提出したことは認める。その余は不知。

 (5) 5は認める。

 2 「第二 本件提訴に至る経緯」

 (1) 第二の1

   令和7年9月7日午前8時45分頃の原告の行動については不知。

 (2) 第二の2

   否認する。津山警察署かぐらお交番の警察官1名が、午前9時23分頃にかがみのドームの入口付近にパトカーを停車させ、同入口から南約100メートルの歩道上に移動し、原告に職務質問を行ったが、政治活動の妨害を行った事実はない。

 (3) 第二の3

   認める。なお、別訴(岡山地裁津山支部 令和8年(ワ)第12号 政治活動の妨害および名誉毀損による慰謝料請求事件)については、令和8年8月21日、被告の勝訴判決となっている(乙1)。

 (4) 第二の4

   否認する。第2の1⑷のとおり、必要な限りで提出している。

 (5) 第二の5

   不知。

 (6) 第二の6

   認める。

 (7) 第二の7

   不知。

 (8) 第二の8

   認否の限りでない。

 3 「第三 公文書の決定内容等について(令和8年4月8日、原告から行われた公文書開示請求(以下「本件開示請求」という。)を前提とする)」

 (1) 請求の内容

   認める。

 (2) 非決定の理由

   認める。

 4 「第四 不開示決定の違法性」

 (1) 岡山県行政情報公開条例第10条に該当しない。

   非開示決定の根拠が条例第10条であること及び公文書非開示決定通知書(甲第4号証)の記載内容は認める。その余は争う。

 (2) 岡山県行政情報公開条例第7条2号の除外事項に該当する

   岡山県行政情報公開条例7条に関し、第四の2の⑴⑵⑶の条文があること及び原告が行った本件開示請求の内容は認めるが、本件開示請求についての原告の評価、当てはめについて争う。

 (3) 岡山県行政情報公開条例第1条に反する

   岡山県行政情報公開条例第1条については認めるが、その余は争う。

 5 「第五 結語」

  争う。

第3 被告の主張

 1 岡山県行政情報公開条例(以下「条例」という。)の定め(要旨)

 (1) 行政情報公開に関する実施機関の責務

   条例の運用に当たっては、公文書の開示を請求する権利を十分に尊重するとともに、個人に関する情報が十分に保護されるよう最大限の配慮をしなければならない(条例第3条)。

 (2) 開示請求権

   何人も、この条例の定めるところにより、実施機関に対して公文書の開示を請求することができる(条例第5条)。

 (3) 公文書の開示義務

   ア 開示請求があったときは、開示請求に係る公文書に非開示情報が記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該公文書を開示しなければならない(条例第7条)。

   イ 非開示情報について、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、

    公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるもの(同条2号)

 (4) 公文書の存否に関する情報

   開示請求に対し、当該開示請求に係る公文書が存在しているか否かを答えるだけで、非開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該公文書の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる(条例第10条)。

 2 本件開示請求非開示決定(以下「本件決定」という。)の基礎となる事実

  原告は、令和8年4月8日付けで、岡山県警察本部長に対し、以下の公文書について開示の請求を行った。

  ① 令和7年9月7日午前9時頃に、申請者が行った行為に対して、鏡野町もしくは関係者が岡山県警に通報した記録(時間、通報者、通報内容)および周辺警察官に指令した内容

  ② ①に関して岡山県警(代理人も含む)が、鏡野町役場(総務課、産業観光課、くらし安全課など)と作陽警備保障株式会社と打ち合わせた内容および、その担当者

  ③ ①に対して、通報者に対して聴取した内容(聴取の有無を含む)

 3 本件決定の理由及び経緯

 (1) 被告は、原告からの本件開示請求について形式上の不備がないと認め、令和8年4月8日に受理した。

 (2) 原告が開示請求した公文書については、前記第3の2のとおり、「申請者が行った行為」についての請求であり、原告の氏名を名指ししての請求である以上対象となる行政文書が、条例7条2号に規定する非開示情報である個人に関する情報に該当することと認めた。

 (3) 被告は、原告の請求が個人に関する情報に当たると認め、本件開示請求に係る公文書が存在しているか否かを明らかにすること自体が、個人に関する情報を開示することになると判断し、請求に係る公文書を開示しないことと決定し、令和8年4月15日付けで原告に通知した。

 4 本件決定の適法性

 (1) 非開示情報に当たることが明らかであること

   本件開示請求は、前記第3の2のとおり、「申請者が行った行為」に対する公文書の開示請求である。

   条例第7条2号は、非開示情報について、「個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの」とあり、

   本件開示請求が、「申請者が行った行為」と特定の個人を明示している以上、その対象が全て非開示情報に当たることは明らかである。

   原告は、本件開示請求の対象公文書に「公務員の職務行為」及び「公務員の指揮による職務行為」に関する情報があることを前提として、それが条例7条2号の除外事項に該当し、判断が誤っていると主張するが、

   前記のとおり、原告自身の情報が非開示情報に当たることから、原告の主張は前提となる事実及び法令の当てはめを誤っており、失当である。

 (2) 公文書の存否応答拒否が適法であること

   本件開示請求の対象文書は、「申請者が行った行為に対して、鏡野町もしくは関係者が岡山県警に通報した記録」及びそれに関連した文書である。

   警察に通報した記録に係る文書については、それが「存在する」として開示または非開示決定をした場合、原告について警察に通報をされたという個人情報が明らかになることとなる。

   また、「存在しない」として非開示決定をした場合も、原告について警察に通報されていないという個人情報が明らかになることとなり、いずれにしても文書が存在しているか否かを答えるだけで、原告についての非開示情報を開示することとなる。

   開示請求は、条例の定めにより、何人も請求することができるものであることから、誰にでも同じ情報を開示しなければならない。

   本件請求は、原告本人による請求であるが、対象文書がたとえ請求者本人に関するものであっても、非開示事由に該当する限り、請求者の属性にかかわらず公正な決定をしなければならない。

   よって、本件請求が条例第10条に該当し、当該公文書の存否を明らかにしないで、本件開示請求を拒否した決定が適法であることは明らかである。

 5 結語

   以上に述べたとおり、原告の請求は理由がないことが明らかであるから、速やかに棄却されるべきである。

以 上


<原告第1準備書面>

令和8年 10月 5日

第一 被告答弁書について

 被告答弁書5頁14行目より

 本件開示請求は、前記第3の2のとおり、「申請者が行った行為」に対する公文書の開示請求である。

 【原告の主張】

 開示請求の内容を簡潔にいうと、

 A.鏡野町もしくは関係者が岡山県警に通報した記録および周辺警察官に指令した内容

 B.岡山県警が,鏡野町役場と作陽警備保障株式会社と打ち合わせた内容および、その担当者

 C.Aに対して、通報者に対して聴取した内容

 であり、申請者の行った行為についての開示請求ではない。

 よって、被告の答弁書は失当である。

以上、